Balance Alnalog Magpha EQのハイ・シェルフが、よく評されるように位相特性に優れているというのは本当か?を聴き比べようというエントリです。
今回はどこまでも筆者個人の評価を述べることからは逃げ続けながら投げっぱなしにするという、卑怯極まりない内容を含みます。あらかじめご了承ください。
ことの起こり
ふと思い立ち、 VSTプラグイン解析ツール DDMF Plugindoctor で 手元のEQプラグインを比較していたところ、位相特性に優れているとよく評されるBalance Analog Magpha EQのハイ・シェルフが、Pro-Q3の周波数特性、位相特性と変わらないことに気付きました(Pro-Q3側はNatural Phaseモード、Q=0.3に設定したとき。カーブを見る限りにおいて)
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逆に、より明らかな差としては、Magpha EQの方が設定可能な周波数の幅が広く、量子化誤差も少なく見えます。 これは筆者の拙い知識で理解している限り、Magpha EQの革新的なアルゴリズムにより得られる理論上のメリットと矛盾しません。
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タップ長の差によるものでしょうが、レイテンシもMagpha EQの方が少ないように見えます。(出典は失念しましたが、Magpha EQがN=63であると作者自身が記述していた…との古いメモがありました)。しかし、リンギングの量自体は、目視で見る限りPro-Q3とは大きくは違わないように見えます。
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このように、一部条件に関しては確かにMagpha EQに分があるように見えます…が、よく言われる「位相特性」については本当にMagphaの方が優れているのでしょうか?
聴き比べてみよう
比較のため、Addictive Drums2でドラム・ループを作成し、これをMagpha EQおよびPro-Q3を使い、ある周波数以上を6dBブーストしたファイルを作成しました。下記に置きますので、よろしければ聴き比べてみてください。
- zipファイルをダウンロード (約18MB)
A、Bのどちらかの方が、位相特性の面で優れていると感じられますか?
もし優劣つけがたいようであれば、とりあえず今後Pro-Q3ユーザの方は、Natural Phase & Q=0.3設定でMagpha気分を味わっていただけるかもしれません。
zipファイルには、おまけでDMG Audio Equilibrium(FIR/Analogue)で作成したファイルも同梱します。こちらは目視で周波数特性のカーブを似せた際の出力結果ですが、位相特性と量子化誤差のレベルでいえば、今回比較した3つの中ではもっとも優れているように見えます。(なお、レイテンシとリンギングの量は最大でした)
※ブラインドテストで使用したEQと、それぞれのパラメータは本ページ最下段より次ページをご覧ください。
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参考
- “Improving the frequency response magnitude and phase ofanalogue-matched digital filters” (2018年の著者研究成果にAES資料へのリンクあり)