レビュー「教則ビデオ:Matthew Weiss / Mixing with Compression」

何度かフリーのチュートリアル記事を紹介させていただいたMatthew Weiss氏による教則ビデオ「Mixing with Compression」を一通り見たので、簡単に内容をご紹介します。

教則ビデオ:Mixing with Compression

本作は12のファイルに分かれており、延べ視聴時間は1時間45分、映像はすべてフルHDです。しかしながらカメラの画像は荒いですし作業画面の内容が重要になる場面もあまりありませんので、これはややオーバースペックかもしれません。

最近はわりと多くの方がおっしゃっていることでもありますが、コンプを色付けのツールではなく(その効果はもちろんあるものの)本質的にはエンベローブ操作の道具であると定義するところから始まります。
続いて、コンプの種類、選び方、シチュエーションごとの使用例が続きます。

紹介される個々のシチュエーション自体はさほど珍しくないかもしれませんが、先の「エンベローブ操作」であるという点に主眼を置いて説明がなされますので、いま一度ダイナミクス操作についておさらいしたい、あるいは効果的なパラメータの設定順を学びたいという方には有用かもしれません。

逆に、サージカルなレベル操作ではなく色付け目的でコンプレッサーを使用する場合に注目すべき点についても簡単ながら説明がありました。

また、先述のコンプの種類や選び方では、各方式の略史や、当アカウントで過去にご紹介した各種ブログとはまた違ったアプローチもあり、わりと新鮮な内容でした。(ネタバレにならない程度に説明すると、Attack/Releaseタイムの早い/遅いだけでは語りきれない方式ごとの特性の違い等々)

このタイトルはトピックに関して網羅的であるのもさることながら、特筆すべきはテンポ感の良さ。同様のチュートリアル・ビデオはともすれば間延びしがちがな印象がありますが(あくまで個人の意見です)、まったく退屈することなく最後まで見ることができました。メモを取りながらだとむしろ少し早すぎるぐらいかもしれません。音に専念できるよう、Before&Afterを切り替えて比較する場面では毎回画面が暗転するのも乙でした。

なお、本タイトルは単体よりも他のコースとセットで購入する方が割安です。かくいう私もリバーブに関する6時間(!)のチュートリアルを購入しようとしたところ、コンプ編、EQ編を加えたセットが割安でしたのでそちらを入手してみました。他のものについても気が向いたらレポートするかもしれません。

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