サブウーファーについて

Q.モニタに使用しているFocal SM9に組み合わせるサブウーファーを選定中です。Focal Sub-6とADAM Sub-10 Mk2のどちらがいいですか?それぞれの値段に2倍の開きがあるので、後者を2台買うことも選択肢に入れています。

SoundOnSound誌2018年11月号掲載記事より意訳


A.まずなにより、狭い空間とサブウーファーはたいてい相性が悪い。小さい部屋で立つモードに対応するにはベーストラップが必須だが、それとて必ず適切に機能するとは限らない。部屋のカドに吸音材を置いたぐらいでは残念ながらウーファーの放つ低音に対して効果は無い。

この問題を解決しない限り、低音はボワボワになり(強調される周波数もあれば完全に消えるものもあるだろう)バランス判断はウーファーの導入前よりも難しくなるだろう。

さらに低価格のウーファーはいずれもある程度倍音を発する。低域が伸びる代わりに中域がマスキングされ、そちらのミックス判断を困難にしかねない。そういった歪みとは無縁のサブウーファは設計が難しい。個人的にシビアなモニタリングで使おうと思えるもので1,200ポンド(約17.7万円)を切る製品はない。

それでも導入するなら、メインのモニタとメーカを揃えるのが妥当。同社製品を組み合わせる前提でクロスオーバー周波数などが設計されているはずなので。質問者が挙げた選択肢であれば、迷わずFocal製品ということになる。

ただし、繰り返し繰り返し、重ね重ね、使用する環境で低域の処理が問題にならない場合に限る。サブウーファのデカいキラキラした箱や、内臓を揺さぶるような低音が魅力的なのはよくわかる。しかし適切な部屋が伴わなければ高額な失敗に終わるだろう。

そういった失敗環境にウーファーを導入するよりは、良質のヘッドホンで作業する方が、低域のバランスを組む際に正確かつ信頼性の高い判断ができるだろう。

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