前回のエントリでご紹介したSpotifyをはじめ、YouTube、TIDALなど多くの配信サービスでは「マスターは○○LUFSに合わせるのがベスト」という話が最近よく聞かれます。とはいえ、具体的には何をどうすればいいのでしょうか?
今回は、実はそんなに難しくない「ラウドネス(音圧?)の最適化方法」をご説明いたします。
準備物
まずは以下のツールを準備します。
- ITU-1770/EBU R128準拠のラウドネス(Integrated)を測定できるツール
- True Peakを測定できるツール
今回は上記の両方を兼ね備えたiZotope RXを使用します。
手順
1.はじめに、普段どおりにミックスを仕上げます。
2.次に、作成した2MIXのラウドネスとTrue Peakを測定します。
iZotope RXを使用する場合は、”Waveform Stats”をクリックします。
3.測定結果が基準レベルよりも低い場合は、レベルを持ち上げます。
たとえばSpotify向けにマスターを作成する場合、基準値とされる-14LUFSに比べて上図では8dBほど低いので、レベルを上げます。このときTrue Peakが-1dBFSを越える場合は、リミッターを使用します。
この作業を行う際にはiZotope Ozone Advancedのように、コーデックのプレビュー機能があるツールを使用すると、配信プラットフォームでエンコードされたときの音の変化も同時に確認できて便利かもしれません。
4.以上で配信プラットフォーム用にラウドネス(音圧?)が最適化されたファイルの出来上がりです!
「え?これでおしまい? どっちかってーとマキシマイザでパツパツにしたサウンドをリスナーに聴かせたいんだけど😅」
ご安心ください!
もちろんパツパツ・サウンドを聴かせることは可能です。
そのような場合は次の手順に従ってみてください。
1.はじめに、普段どおりにミックスを仕上げます。
2.マキシマイザなどで好みのサウンドを作ります。
ここでは先日の音けっとにて会場限定価格でゲットしたDOTEC-AUDIOさんのDeeMMaxを使ってみましょう。
3.作成した2MIXのラウドネスとTrue Peakを測定します。
4.測定結果が投稿先の規準レベルを越えた分だけゲインを下げます。
上図の場合はSpotifyの基準値である-14dBを6.4dBほど超過しているので、この値だけレベルを下げます。
どのみち再生時にはレベルを下げられるのでそのままファイルをアップロードしてもいいのですが、True Peakがあまりに高いと配信プラットフォーム側でエンコードする際に歪みが増える可能性があるので、マスターに近いサウンドを聴かせたいなら投稿前に規準レベルに近付けておく方が無難でしょう。
これで意図通りのマキシマイザ・サウンドもリスナーに届けられます。
ただ、せっかくなので最初にレベルをちょいと上げただけのファイルと聴き比べてみるのも面白いかもしれません。
より詳しい話をご覧になりたい方はこちらなどが参考になるかもしれません。
本日の価格
・iZotope Ozone
・本エントリで使用したOzone Advanced&RX両方を含むバンドル